マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『龍と苺』第2巻 10年も待てない

評価:4.0

前巻で初めて将棋を覚えた藍田苺は、伊鶴八段に負けたことが悔しくてまたしてもとっぴな行動に出る。
伊鶴八段は、対局がしたければ10年後、名人戦に出て来いと一蹴する。
奨励会に入って棋士になり、名人戦を目指すとすればストレートでも10年くらいかかるが、藍田はそんな迂遠なことはやってられない。
そこでアマ竜王戦の神奈川大会に出場することになるのだが……。
海江田棋王、将棋部の滝沢、アマ王将塚原大樹、元奨励会三段浅井理久、など柳本光晴らしいふてぶてしいキャラが続々と登場する第2巻。

『聲の形』第6巻 さらに状況は深刻に

評価:4.5

前巻のラストから衝撃の展開。
ここまでもトラウマになりそうな話が多かったのだが、ここからさらに状況は深刻に。
石田を取り巻く人々が、制御できない感情の起伏に翻弄される。
植野は硝子に怒りをぶつけ、結弦は写真を捨てる。
意識が戻らない石田を待ちながら、彼らは少しずつ変わり始める。
それぞれが抱えている心の問題を解きほぐすには、時間と、きっかけが必要なのだった。
石田の事故がそのきっかけとなったのかもしれない。
そして、石田自身は……。

『聲の形』第7巻 それぞれの道へ

評価:4.5


石田が抱えた少年時代のトラウマ。

それを克服するためにしてきた行動が、登場人物それぞれに抱えた問題を掘り起こし、ついには爆発してしまう。

しかしそれは決して後ろ向きなことではなく、人は生きていくためには傷を負いつつ、周囲を巻き込み支え合いながらも前に進んでいく。

意識を取り戻した石田は、硝子とその家族と触れ合い、そして失われたと思っていた友情にも触れる。みんな不器用ながら、それぞれの道へを歩みを進めていく。

最終巻。

『聲の形』第5巻 不協和音の高まり

評価:4.5

初登場の頃から天真爛漫に見えた結弦だったが、硝子の負った心の傷は彼女の心にも深い傷を与えていたのだった。
一方、映画制作は植野まで入ってゴタゴタを内包しつつ進んでいく。
石田の小学校で担任だった竹内に再会するが、この辺りから石田と周囲とのコミュニケーションに不協和音が高まってくる。
孤立した石田は硝子を守ることだけできればそれでいいと思うようになるが、花火の夜に事件が起きてしまう。

『聲の形』第4巻 割れたガラスのように

評価:3.5

主人公が鈍感なのはラブコメあるあるなんだけど、石田の場合は少年時代のいじめのトラウマがあるので、他人の感情をうまく読み取れないという事情があるのかもしれない。
川井と真柴、さらに植野が強引に入り込むことになり、コミュニティは複雑化していく。
植野と硝子の絡みが割れたガラスのように心を傷つけていく。

『聲の形』第3巻 ささくれ立っていく心

評価:4.0

西宮との距離を縮めていく石田にとって、永束の存在は押しつけがましいものの、なくてはならないものになりつつある。
小学生の頃に西宮を理解しようとしてクラスのいじめの対象となり、転向していった佐原みよこ。
さらに、石田をいじめる側へと変わっていった植野までが彼らのコミュニティに加わっていくことになる。
この植野の感情の起伏が急勾配のジェットコースターのようで、石田の心はささくれ立っていく。

『聲の形』第2巻 トラウマを解きほぐす鍵

評価:4.0

高校生になった石田将也は、過去の自分の過ちを清算するため、バイトで貯めた金を母親に返し、西宮硝子にも会いに行くのだった。
小学校のいじめ経験から、心を閉ざしていた将也は、この再会から少しずつ社会との関わりを取り戻し始める。
いじめの加害者から被害者になり、心に生まれた激しい自責の念を晴らすことだけが将也の目的だったのだが、硝子、結絃、永束と関わることで、自分の人生の可能性を再発見していく様は、いじめというトラウマを解きほぐしていく鍵になるのかもしれない。