マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『リクルート』 コリン・ファレルのスパイもの

評価:

リクルート@ぽすれん (ぽすれん) リクルート@Amazon (Amazon)
コリン・ファレルって、一時期のブラッド・ピット並に主演しまくってますな。

今回のコリン・ファレルは、CIAの工作員養成施設にリクルートされるハッカー役。『S.W.A.T.』のスパイ版みたいな感じです。

アル・パチーノと共演ということで、最終的にどういう展開になるのかは大体予想がついてしまうんですが、それでもそこそこ楽しめました。

個人的にこういうペテンをかけあうストーリー展開って好きなんですが、いろいろ細かい部分がゴチャゴチャっとごまかされているような後味があります。考えれば考えるほどゴチャゴチャになってしまいます。ちゃんと説明がついてないというか。

というわけで、ちょっと整理してみます(結構楽しんでる)。

以下、ネタバレなのでご注意。



そもそも、ジェイムズ・クレイトン(コリン・ファレル)の父親はCIAのNOCだったのか?

バーク(アル・パチーノ)がCIAの工作員養成施設の教官だったのは真実。父親をCIAのNOCに見せかけたのは、ハッカーの素質のあったジェイムズを引き入れるための口実だった、と語るシーンがある。バークはここで、ほんとはシェルの社員だった、と言っている。

が、ラストのジェイムズが車で搬送されるシーンで運転手(CIAの捜査官?)がジェイムズの血筋について言及している。そして1990年の★マークのアップでタイトルロール。

この展開からするとやはりジェイムズの父親はCIAのNOCだったように思える。しかし、ならばなぜバークはあのシーンでジェイムズにウソを教えたのか? アイス9のコード欲しさにしかけたバーク得意のフェイクだったのか?

さらに。レイラとザックにアイス9のコードを盗むように指示を出したのは誰なのか。レイラがジェイムズに脅される際、コードは偽物だと言うが、じゃぁなんでそんな面倒臭い任務をやっているのか。CIA施設から情報を盗めるかどうかのテストだというセリフもあるが、ほんとのところはどうなのか?

アイス9のコードを盗むように指示していたのがバークなら、わざわざジェイムズを使わなくても安全にアイス9のコードが手に入ったはずだし。

それに、バークはアイス9のコードが本物だと思っていたフシがある。ジェイムズがハッキングをしかけてもダメだったことから、アイス9はやはり偽物だったということはわかる。が、バークはそれが本物だと思っていたからこそ、最後のシーンで騙されるわけなんだよなぁ。

てことは、レイラたちの任務は本当に情報が盗めるかのテストで、それを奪おうとしたジェイムズが二重スパイだと思われて追い詰めたところ、黒幕のバークが出てきていきなりいろいろ告白しちゃったっていうことなのかなぁ。



……書いてて整理がついたような気がしてきました。きっとこういうことなのかなぁと思えるようになりました。

レイラとザックにアイス9のコードを盗むように指示したのはやっぱりバーク。バークはレイラたちに、アイス9のコードはフェイクで、CIAから情報を盗めるかどうかのテストだと伝えた。しかし、実はバークの策略で、コードはフェイクではなく本物だった。アイス9のコードをレイラを二重スパイにしたててジェイムズに奪わせ、さらにその罪をジェイムズになすりつけるのがバークの狙い。途中で本物の拳銃をジェイムズに持たせてザックを殺させ、さらに目撃者を作ったのもバークの差し金。そうすることでジェイムズがスパイ活動をしていたことが証拠として残るから。

ザックが死んだことを受けて一度ジェイムズを交替させるようなセリフがあったが、あれはジェイムズがそれでも引き下がらないであろうことを読んだバークの心理作戦。

ジェイムズがクライマックスでPCを操作して作業しているのはレイラから奪ったアイス9ではなく、飽くまでもCIAのファームに入る前に作っていた自作のハッキングソフトスパルタカス。自慢のスパルタカスを以ってしてもCIAはハッキングできなかった。アイス9は電源経由で進入するウィルスであって、ハッキングソフトではない。

バークはジェイムズのスパルタカスの実力は知っているものの、CIAをハッキングできるかどうかは知らなかったので、中継されていると言われて咄嗟に映画冒頭のシーンを思い起こした。そのために逆上してあの結末に至った。

もちろん建物の前に張っていたCIA(FBIか?)は、ジェイムズが犯人だと思い込んで追跡していた(携帯の電波で)。ところがバークがジェイムズの策略にはまって罪の告白をしてしまい、さらに逆上して銃を構えようとしたのであえなく射殺。

……こんな感じだったのかなぁと思います。

ジェイムズの父親がCIAのNOCだったのは、やはり真実だと思う。バークがウソだと言ったのは、ジェイムズに罪を着せてアイス9を奪うための口実だったのだと思われます。


それにしても。電源から進入するウィルスっていう設定も無茶なら、プリンターもフロッピーも使えないような徹底振りの割に、USBメモリーが使えてしまう環境というのもどうかと思うんですが、いかがでしょうか。