マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『舟を編む』

評価:4.5

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辞書編集に長年携わってきた松本先生と編集者荒木が、営業部の馬締(まじめ)と出会って国語辞典『大渡海』の編纂に情熱を注ぐ物語。
生真面目で不器用な馬締と女板前の香具矢の出会いは、些か現実離れしているとは思うけれど、辞書編纂に対する情愛は深く、非常に面白く読めた。
西岡や岸辺といった狂言回し的な脇役の存在も、馬締の個性がいかに突出しているかを浮き彫りにしている。
岸辺の「ああ、この人も変人なんだ。まことに残念だ」という感想は、しかし馬締や製紙会社の宮本の職人魂を温かく称賛しているようで、それがまたこの本の読者に対して「変人でもいいじゃない」と言ってくれているように思える。