マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


非破壊自炊 個人的メモ

普段はiPad Pro 12.9やFire HD 10を持ち歩いている。

iPad Pro 12.9は主に手書きノートとして活用していて、Fire HD 10では主にKindle本を読んでいる。

しかし、中にはKindle化されていない書籍もあって、そういうのはいわゆる「非破壊自炊」をして、Fire HD 10で読んでいる。

本を断裁してドキュメントスキャナーで読み込んだ方が速いのはわかっているのだが、自分が所有している本であっても、やはり本を破壊するということができない。

なので、時間がかかってもえっちらおっちらスキャナーで読み取っているわけである。

この非破壊自炊にもいろいろと歴史があって、個人的に何年もいろんな方法を試してきた。

いわゆるオーバーヘッドスキャナーの革命児ScansnapのSV-600も手もとにあるし、ブックスキャナーの定番Opticbook4800もある。そして、オーソドックスなフラットベッドスキャナーのGT-X820もある。

富士通 スキャナー ScanSnap SV600 (A3/片面)

富士通 スキャナー ScanSnap SV600 (A3/片面)

EPSON Colorio フラットベッドスキャナー GT-X820 6400dpi CCDセンサ A4対応

EPSON Colorio フラットベッドスキャナー GT-X820 6400dpi CCDセンサ A4対応

読み取り速度は、SV-600 >> Opticbook4800 > GT-X820 といったところか。一方、画質の良さは逆順になる。

SV-600は、見開きページを自動的に平面化してくれる機能があるのだが、ソフトのクセが強くて使いにくかった。ファイルを一括処理することが前提となっていて、一冊通しで取り込むしかない(既存のファイルに追加する方法がわからない)。

表紙を単ページで取り込んで、次の見開きから見開き取り込みをしたいのだが、表紙も見開きと同じ平面化をしようとしてしまう。このため、表紙の中央部分に変なひずみができた図になってしまう。

個人的に、囲碁の本を取り込むことが多いのだが、平面化すると碁盤の目がどうしてもひずんでしまう。慣れればどうということはないのだが、気にし始めるとどうしようもない。

また、外光の影響が大きく、ページによって白飛びしたり、逆に影が入ったりしてしまう。部屋の明かりが反射したりもするので、スキャン作業場の光の配置に気をつけなければならない。

と、細かいことを言い出せば切りがない。

上記の不満は、購入した当初に試したときの感想なので、ファームアップやソフトのバージョンアップでいろいろ改善している可能性はある。

似たような製品では、今はCZUR ET16 Plusというものがある。これはクラウドファンディング発の製品らしく、発売当初は不具合も多かったようだが、バージョンアップを重ねてかなり改良されているらしい。

表面を立体的に捉えるというのはSV-600にはない機能なので、期待が持てる。部屋の明かりはやはり気にしないといけないのだろうが、無反射ガラスで本を押さえたりしなくて良さそうである。


続いてOpticbook4800。こちらは、スキャン速度が速いのと、本の綴じ部(ノド)の死角が2mmというのが謳い文句。

奇数ページと偶数ページで上下反転も自動でやってくれるし、慣れればかなり速いスピードでスキャン作業が進むだろう。

ただ、ハードの信頼性がやはりちょっと気になる。

ノドをぎりぎりまで読み取らせようとして、本を強くガラス面に押しつけると、走査装置がギギギ……と音を発したことがあった。

フラットベッドスキャナーに比べると、ノドの浮いた部分が発生しにくいので、ガラス面との接触面積が広くなる。これにより、比較的分厚い本でも平面的にスキャンできるという特質がある。

向かない本としては、ノドギリギリまで絵のあるようなマンガだろうか。試してないのは、マンガをスキャンする時間があれば読んだ方が早いからだ(それを言うと、普通のテキスト本も同じようなものかもしれないのだが)。

こちらも購入したときに他のスキャナーと比較をしたりしたのだが、スキャン時に意外と本がズレてしまうので、傾き補正をする必要があったりして、その方法をルーチン化するのが面倒になってやらなくなってしまった。

また、ソフトが頻繁にフリーズした記憶もある。こちらもファーム、ソフトともに改善されている可能性はある。

この製品の作りの甘さが気に入らないのだが、最近は筐体がもっと頑強になった別製品があるらしい。

だがこれもSV-600の登場前の製品で、その後アップデートされていないようなので、非破壊自炊というのは相当ニッチな世界なのだろう。



最後にGT-X820。こちらは普通のフラットベッドスキャナーなので、時間がかかる。が、画質は最もいい。センサーがCCD IIなのと、光源が複数あることで、ノドの部分でガラス面と本の間に多少距離があっても影になりにくいというのが特徴。

これによって、ノド部分はほとんど暗くならない。

さらに、見開きスキャン時に、右ページと左ページを単ページとして読み取らせることができる。これが非常によくできていて、最初にページごとの枠を作っておけば、プレビュー画面で中心線を微調整することでほぼ一定の品質でスキャンすることができる。

ただ、本が分厚すぎると、ノド部分にできる表面のカーブによって文字がひずむ。ノド部とガラス面に距離ができてしまうので、これは構造上どうしようもない。

フラットベッドスキャナーで取り込んだ見開き本のスキャン画像を、SV-600の平面化アルゴリズムで自動的に平面処理してくれるソフトがあれば、有料でも買いたいんだけど、誰か作ってくれませんか(笑)。

ともあれ、今はある機能でやるしかない。

ノド近辺の文字のひずみという問題点はあるものの、慣れてくると全体の品質が均一にしやすいので、最終的にはこれに落ち着いた。

慣れるまでは時間がかかって仕方なかったのだが、最近では1分1ページくらいのペースでスキャンできるようになった。慣れて1分1ページということは、500ページの本は500分かかることになる(汗)。

おかげで発売日(二年前!)に買った『騎士団長殺し』は長い中断期間を経て、ようやく第2部までスキャンできた。そろそろ読もうかな(笑)。

また、環境にもよると思うのだが、自分の環境では100ページくらい連続でスキャンするとフリーズしたり、スキャンソフトが正常終了しなくなってしまうので、50ページくらいスキャンするたびにソフトを再起動している。地味に面倒くさい。

というわけで、気楽に見られるバラエティ番組などを消化しながらスキャンすることにしている。そのおかげでさらに時間がかかるような気がしなくもない。

なお、現時点ではGT-X830が最新製品らしい。

とまぁ、そんな感じである。

SV-600、Opticbook4800はそれぞれ数冊程度、GT-X830は十数冊程度。数年間かけてこれくらいしかスキャンしてないので、そこまでヘビーユーザーではないのだが、スキャンしたい本と読みたい本はそれ以上のスピードで積み上がっていく。

とりあえず囲碁の本だけでもスキャンしたい本が50冊近くあるんだけど、どうしたもんだか。