新撰組血風録

評価：5.0

新選組血風録　〈改版〉 (中公文庫)

新選組の凄惨な人間模様を、様々な登場人物の視点から描いた群像劇。
個人的に、新選組の人物像がほぼゼロの状態から読んだのだが、幕末の雰囲気は『篤姫』や『西郷どん』のイメージで補いながら（薩摩に寄り過ぎる気もするが）、長洲、会津、土佐、薩摩、尊皇、佐幕がどういう立ち位置だったかを頭の中でイメージできるようになった。
刀剣マニアの近藤勇、一歩引いて宰相っぽい立ち位置の割に意外と素直な土方歳三、天才薄命沖田総司、諜報しまっせ山崎蒸、その他剣客斎藤一と永倉新八などなど。敵も味方も斬って斬られて、幕末の京を舞台に任俠風を吹かせまくり。
なるほど、幕末モノの人気あるのがよくわかった。刃傷沙汰がまかり通るので、極道モノよりよほど任俠入ってる。
歴史的な背景も、説明が繰り返されるので、少なくとも新選組の敵が長洲であるということがよくわかった。
それにしても軽快な文章は未だに活力がある。さすがは司馬遼太郎。
司馬遼太郎の作品をもっと読みたくなった。