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バタフライ・エフェクト3

評価:4.0

バタフライ・エフェクト3 / 最後の選択 無修正版 [DVD]

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バタフライ・エフェクト』シリーズ第3弾。
2が想像の斜め下に突っ走っていたので心配して観始めたのだが、別物のサスペンス・スリラーとして十分見応えのある作品に仕上がっていた。

今回の主人公サム・リードは、過去へのジャンプ(字幕ではトリップと書かれていたが)について、ゴールドバーグ教授という能力の理解者を得ている点が、前作までと大きく違う。
教授によると、「過去を変えるジャンプはするな」「立会人なしにジャンプするな」というふたつのルールを守る必要があるという。
過去の同じ時点に戻ると脳に大きなダメージが起きるという条件も後々追加される。
これまでの作品では、「過去を変える」ことがジャンプの目的だったのだが、この作品では「過去を見る」だけという制限が付加されたわけである。
「過去に戻る」という能力が何でもできてしまいそうな万能感があるので、こういう制約がある方が物語としては楽しめる。
また、「過去を変える」ことによって思わぬ変化が巻き起こってしまうことを禁じることは、これまでの作品の視聴者には納得の制限でもある。
物語的手法として、これは非常に正しい。
そして、序盤に出てきた制約は往々にして破られることになるのもまた、物語の王道である。

サムはその能力を使って、警察の殺人事件の犯人特定を手伝うアルバイトをして社会貢献をしていた。過去には「ジャンプ」するものの、飽くまで傍観者として過去を書き換えないように振る舞う。
サムはかつて、一度だけ「過去を変え」てしまっていた。それは、家が火事になった際に、本来は死んでいた妹ジェナを救うためだった。
この改変により、両親は死んでしまったが、ジェナの命は救われた。しかし、ジェナはひきこもりになってしまった、というのがいわゆるバタフライ・エフェクトなのだった。

そんなある日、リズ(エリザベス)・ブラウンと名乗る女性がサムの自宅を訪ねてくる。彼女は、かつてのサムの恋人レベッカの姉だった。
リズによるとレベッカは殺されていて、その容疑者ロニー・フレノンズが数日後に死刑になると告げる。リズは、レベッカを殺したのはロニーではないと言い、その真犯人を探して欲しいと依頼するのだった。

このあたりまでが序章なのだが、事件の真相に迫ろうとサムがジャンプするたびに現実は大きく変わる。
サム自身も振り回されるのだが、観客も同時に事件が思わぬ方向に展開して行く様に翻弄される。そこがこのシリーズの醍醐味なのだが、今回はサスペンス的要素が強く、パズルのピースのずれ具合が絶妙なのだ。

2があまりにもひどかったので、この振り幅にもまた翻弄されてしまった。
1とは全然違う雰囲気になってしまったが、標準的なタイムリープものとして完成度の高い作品になったと思う。