マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


銀河英雄伝説 第1巻

評価:5.0

小説版は1982年刊行。自分が読んだのは高校1年生の頃なので刊行から5年後だった。
中学生の頃に三国志から中国史全般にハマっていた私は、銀河英雄伝説を知って田中芳樹にのめり込んで行った。
アニメの印象が強かったものの、小説版は何度も読み返した。つい最近も、Kindle版で全巻+外伝を読んだばかり。
道原版銀英伝も読んだが、藤崎版は時系列に物語を組み替え、ラインハルトの眼力が際立ったキャラ設定になっている。
原作に忠実ながら、構成と演出が素晴らしい。
第1巻は、ジークフリード・キルヒアイスとミューゼル家との出会いから始まる。キルヒアイス視点がもはや主人公かと思われるくらいなので、こういう構成だと後々の原作第2巻の事件が耐えられなくなってしまうのは必定。
生ける屍のようなフリードリヒ四世のキャラクターは、滅び行く銀河帝国の象徴としてぴったり。
しかし、今の若い人たちにもこの物語の非情さというか、それを乗り越えなければ得られないものを味わって欲しい。
高校の頃、この作品を紹介してくれた友人は、「これはフィクションというよりは未来に起こるであろう史実のようなものだ」と語っていた。矛盾した物言いだが、説得力があった。