評価:4.0
- 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
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『ロング・グッドバイ』は村上春樹訳だったので、こちらは清水俊二訳版を読んでみた。
確かに文体は違うが、マーロウはマーロウだった。
大鹿マロイは、村上春樹訳ではヘラ鹿マロイになっているようだ。まぁどちらでも大差ない。なお、ヘラ鹿の「篦」は漢字検定準1級対象漢字。おかげで書けるようになったが普段の生活ではほとんど使うこともないし、書いても読んでくれる人が少ない。
黒人差別的な表現も多々あるのだが、時代背景もある。『IT』で黒人バーが銃撃される上に火事になるシーンがあったが、この頃のアメリカはそういう時代なので仕方がない。
ハリウッドのきらびやかな社交界というのは、『ロング・グッドバイ』のレノックスたちを見ているとよくわかるが、酒と薬と金に塗れてしまっている。そんな中で、粗野な純情がどのような展開を見せるか、というのがこの物語のテーマである。
相変わらずマーロウの言動は冗談が多くて理解しにくいのだが、後から考えると大抵辻褄が合うようになっている。