サピエンス全史 上

評価:4.5

文体の歯切れがいいので、やや強引に感じる部分もあるが、最近の発掘情報などのエピソードも交えて語られているので説得力がある。
ホモ・サピエンスの歴史を「認知革命」「農業革命」「科学革命」の三つの重要な革命が与える影響を軸に語る社会歴史学
認知革命は言語・共通概念の獲得であり、その最大の成果は社会的「虚構」を作り出すことだった。虚構とはすなわち、宗教であり、国家であり、貨幣経済であり、この認知革命こそがサピエンスを人類(ホモ属)の支配者にせしめたのだという。
続く「農業革命」では、サピエンスは農耕により爆発的な人口増加を得た代わりに、より効率的を求めるために穀物に隷属(小麦による人類の家畜化)するようになったと語る。効率的に作物を得るために工夫を凝らし、それがさらなる人口増加を生み、さらなる食糧不足を引き起こす。贅沢を得るために我々は効率化という踏み車をより速く踏み続けるはめになる、「贅沢の罠」にハマっているのだという。
上巻最終章「人類の統一」では、貨幣の登場により「帝国」が複数の民族を統治するようになり、それがいまやグローバルに広がりつつあると説く。
著者によれば、国家主義は次第に影を潜め、グローバリズムによって全人類が「わたしたち」になるのだという。
ここ数年はむしろ逆行的に、国粋主義が台頭をし始めているようにも見えるが、それは恐らく「揺り返し」のようなものだということだろう。
個別の小さな集落だった人類が、グローバル化した帝国に飲み込まれていくメカニズムは、幻想的な印象はあるものの、説得力がある。