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『完全なるチェックメイト』 天才は狂気と紙一重なのか

評価:4.0

完全なるチェックメイト(字幕版)

完全なるチェックメイト(字幕版)

  • 発売日: 2016/07/02
  • メディア: Prime Video

ブルックリン生まれのユダヤアメリカ人で天才チェスプレイヤーとして有名なボビー・フィッシャーの物語。
ソ連のチャンピオン・スパスキーと世界チャンピオンの座を賭けて二十四番勝負に挑む。

ボビー・フィッシャーは狂気の天才として知られていて、若い頃からその才能はずば抜けていた一方で、精神的に不安定だった。
映画の中で、チェスの天才は狂気と紙一重のように描かれている。
フィッシャーは音に過敏に反応し、部屋に盗聴器が仕掛けられていると信じ込んだり、対局条件として無理難題をふっかけたりする。
対局相手のスパスキーも、対局中に椅子から変な音がすると言ってみたり、やはり普通の人とは違う感覚の人物として描かれている。
が、私が知る最近の将棋や囲碁棋士を見ていると、全くそうは思えない。羽生善治九段、森内俊之九段、佐藤天彦九段、豊島将之竜王名人、渡辺明三冠……。張栩九段、高尾紳路九段、山下敬吾九段、井山裕太棋聖、芝野虎丸名人王座。いずれも紳士的で落ち着いた印象である。よ……いや、何も言うまい。
ひょっとすると時代のせいというのもあるのだろう。確かに昔は盤外戦術もすごかったという話はよく聞く。
正直、こんなプレイヤーの対局を設定する裏方にはなりたくないなと思いながら、世界を変える瞬間をそばで見たいという気持ちもないではない。
そういう意味では困ったものだが、やはり天才の所業を見るのはいつの時代もいいものである。

チェスのルールはよくわからないが、囲碁や将棋の対局はいつも見ているので、やはり似た雰囲気がある。
チェスクロックは、形は異なるものの、今でも囲碁や将棋の対局には使われている。
また、フィッシャーが考案したというフィッシャールールは、AbemaTVトーナメントなどの超早指し戦や練習対局でも採用されていて、この頃から連綿と続いていると改めて感じた。

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『完全なるチェックメイト』より