マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『火のないところに煙は』 リアリティホラーミステリーの秀作

評価:5.0

火のないところに煙は

火のないところに煙は

芦沢央著。
神楽坂のとある印刷会社を舞台とした「染み」を発端として、五つの怪異が著者のもとに集まるようになり、それを一冊の本にまとめた形を取っている。
登場人物は芦沢央さん自身と思われる「私」の視点で、「小説新潮」に短篇を不定期掲載する経緯を交えながら怪異を披露しているのだが、そこに編集者や不動産関係者、拝み屋などが登場し、物語に関わっていく。
五つの短篇もそれぞれ魅力的だが、それを総まとめした最終話「禁忌」がまた真に迫っていて読み応えがある。
リアリティホラーミステリーの秀作。

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『火のないところに煙は』