マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


 祖父の葬式が終わりました

9月3日午前7時56分、祖母と叔母の手を握りながら祖父は静かに永眠しました。残念ながら臨終には同席することができませんでしたが、数度に渡るお見舞いの間に、最期のお別れはしっかりとできたように思えます。久しぶりに家に戻ってきていた祖父の顔は、うっすらと笑みを浮かべたように安らかな表情でした。

4日が友引だったこともあり、5日に通夜、6日に告別式を行いました。

葬儀の方法が想像していたのとは随分違っていた(告別式の前に火葬する、隣組が裏方をやってくれるなど)ため、いろいろ戸惑ったりしましたが、無事終わりました。

祖父は生前、俳句の句会をいくつも指導したり、地域の文化協会会長を務めたりしていた関係で、葬儀は400人近い参列者を迎える規模になってしまいました。葬式の準備がどれだけ大変かということが骨身に染みてわかりました。

みなさんのおかげで、親戚一同で祖父の床を幾度も見舞い、最期を見守ってあげられることができました。一生忘れられないくらい心に残る充実した16日間でした。

ありがとうございました。

9月1日の午前2時、祖父が家に待機していた祖母とうちのかみさんを呼んで、息も絶え絶えの状態で詠んだ辞世の句です。

初雁や八十五歳のしめどころ

「初雁」は9月(初秋)の季語。9月になった瞬間にこの句が出てくるあたりはさすがです。

10日の間、いろんな不思議な体験がありました。いくつか紹介しておきます。

弟夫婦が見舞ったとき、別れ際に「ひまご、ひまご」と言ったんですね。そのときはまだわかってなかったんですが、実は義妹が妊娠していたんですね。ちゃんと検査に行って判明したのが、祖父の亡くなった9月3日でした。

同じ時期に、親戚のおばあちゃん(92歳)が同じ病院に入院してたんですね。肺に穴が開いたとかで。親戚一同がおばあちゃんのお見舞いに行こうとすると、「退院した」と祖父が言ったんですね。実際にはまだ入院していたので、祖父の頭が混乱してるのかなぁとみんなで話してました。しかし、数日後に肺の穴が突然閉じてほんとに退院しちゃったんですよ。9月3日に。

8月31日、祖父が突然「富士山が見たい」と言い出したんですね。その病院があるのは静岡県藤枝市なんですが、空気の澄んだ冬ならまだしも、夏のこの時期は雲が多くてなかなか見ることができないんです。しかし実はこの日はちょうど台風が過ぎた直後で、偶然富士山が病院から見えてたんですね。さっそく病院から写真を撮って祖父に見せたそうです。祖父の病室はナースセンターの隣で窓もなく、富士山が見えるのがわかるわけなかったんですけどね。

まぁ、偶然と言ってしまえばすべて偶然のようにも思えます。台風の後に空気が澄んで富士山が見える、というのも、そこに長年住んできた祖父からすれば、当たり前といえば当たり前のことなのかもしれません。弟夫婦の顔を見て「ひまごを早く作れ」と言っただけかもしれないし、「退院した」というのも単なる勘違いかもしれません。

でも、それがどういう経緯で発せられた言葉であれ、残された家族の心の中に確実に残る言葉でした。

ありがとう。そして、お疲れさまでした。