マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『ズーム/見えない参加者』 面白半分で真似しないように

評価:3.0

2020年、イギリス。原題は『HOST』。

コロナ禍ならではの映画。Zoomなどのツールを使ったWeb会議はもはや当たり前のものとして定着してしまったが、割と早い段階で映画が作られることになったらしい。

外出規制が続く中、知り合い同士でWeb会議システムを使った『交霊会』をすることになる。この会を呼びかけたのはヘイリーで、近所に住むメガネをかけたジェマ、父親と住むキャロライン、男性パートナーと同棲を始めたラディーナ、そして唯一の男性テッドを含めた5人に、霊能者のセイランが加わることで、交霊会が進んでいく。

Web会議あるあるも随所に散りばめられている。自分が映った動画を背景に流して「分身」したり、通信環境によって画面が固まったり、通信が切れたりなど、我々がよく経験する現象が出るたびに、「あるよなぁ」と思うのである。これが、いつの間にか「リアリティ」に感じられてくるから不思議である。

会が進むうちに、ラップ音に似た音がして玄関に行くセイランだが、しばらくして戻ってくると「宅配便だった」と緊張感をほぐしてきたりする。ああ、まさによくあるやつだと思うとともに、「ひょっとしてこの映画はそんなに怖くないのではないのか」という安心感につながっていく。

しかし、あることをきっかけに場の空気がガラリと変わっていくのであった……。

映画の本編終了後に、スタッフと出演者たちが実際に映画撮影前に行った『交霊会』の試行実験があるのだが、基本的にやり方は全く同じだったのが興味深い。面白半分で真似しないように祈りたい。