マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『ドント・ブリーズ』 息殺し系ホラーの原点

評価:4.5

2016年の作品。

『クワイエット・プレイス』という息を潜めるホラー作品の原点と言えば、この作品である。

デトロイトで暮らすマニー、ロッキー、アレックスの3人は、小遣い稼ぎとして空き巣を働いていた。アレックスは父親が警備会社に勤めていて、防犯セキュリティシステムに詳しく、主にアラート解除のサポート役を務めていた。しかし、根は善良な小市民で、彼らの行為が大罪にならないように、3人の犯罪行為の抑制役でもあった。

マニーは見るからに粗暴な男で、家宅侵入により盗んできた品物を、反社会的組織に売るパイプ役にもなっていた。ある時、組織から大金がありそうな家の情報を入手し、ロッキーとアレックスに金目当てで侵入しようと持ちかける。

ロッキーは、マニーの恋人であり、アレックスが密かに想いを寄せるヒロイン。家では母親が男を連れ込み、居場所がなく、大金があれば妹と一緒に新しい生活を始められると夢想していた。彼女はマニーが持ち込んだ話に興味を示し、渋るアレックスを説得する。

マニーが持ってきたのは、ゴーストタウンにある一軒の家の話だった。湾岸戦争の退役軍人の家で、最近ひとり娘を交通事故で亡くしたという。娘の命を奪ったのは金持ちの娘で、示談金として大金がその男の懐に入ったのだ。今回の標的は、その家にあるというその示談金だった。

マニーがその家の出入りを調べたところ、近隣の家は無人で、その男もほぼ家から出ないという。凶暴な黒い犬を一頭飼っているが、男は失明していて、大金を手に入れるのは容易にも思えたのだが……。

クワイエット・プレイス』でもそうなのだが、やはり息を潜めるホラーというのは観客としても緊張感が増す。観終わった後の達成感に似た疲労感がまた、癖になるのだ。

特にこの作品では、暗闇の中で息を潜めて逃げるシーンが多いのだが、そういえば『REC』のラストもそうだったと思い出した。いずれも、相手が盲目という共通点があり、盲目の襲撃者にとって暗闇は好材料でしかないのである。

どうやらこの作品も続編があるということなので、近いうちに観ることにしよう。