マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


 HMZ-T1

8月の末に発表され、一部地域で話題騒然、大多数の方はまったく知らないヘッドマウント・ディスプレイ、HMZ-T1が11月11日に発売されました。

http://www.sony.jp/hmd/products/HMZ-T1/

見るからに近未来のガジェット。魅惑的過ぎます。

開発されていることは今年の早い段階で知っていたのですが、実際に製品化されることを知ったのは、9月初めのヨドバシカメラでした。

3D映像の魅力は前から感じていましたが、3Dテレビでは物足りなさも感じていました。

現在使用しているのはブラビアの3Dテレビですが、3D眼鏡をかけると画面が暗くなってしまうんですよね。それに、テレビの周りのモノが視野に入ることで、3D映像への没入感がなかなか感じられない。それに、1歳児がいる我が家ではリビングで3D映画を観ること自体が夢物語となってしまっています。

まぁ、普通の映画もリビングのテレビでは全くといっていいほど観なくなっているので、3D云々以前の問題なんですが(汗)。我が家のテレビは7割方、NHK教育Eテレ)の子供向け番組ヘビーローテーションです。

そんなわけで。理想的な3D映像は、右目用と左目用に別々の映像を出し、視野にほかのモノが入って来ないような環境を作らないと実現できないんじゃないかと思っていました。

そんな環境を作るのは家庭では無理な話ですし、現実的ではないと諦めていたのですが。

それを、ひとつの製品として作り上げてしまったのが、このHMZ-T1なんですね。

両目用にそれぞれ有機ELモニターが入っていて、頭に取り付けることで画面以外に何も視野に入らない環境が実現できます。まさに3D映像を観るための夢のような環境です。しかも専用眼鏡をかけるわけではないので、画面は明るいまま(最近の3D眼鏡付きの画面は以前より明るくなっているとは思いますが)。

とはいえ、これを実物を見ずに予約するのも危険か……と思い、その場では予約せず、後日有楽町のソニービルで体験して、某ネットサイトで予約しました。

それが9月26日。発売の一カ月半前ですが、それでもどうやら予約時期としては遅かったようです。

なんとなく聞こえてくる状況から、11月11日の発売日に入手できそうもない、とは思ってましたが、発売日を過ぎても一向に連絡なし。2回ほど電話で問い合わせもしましたが、12月中に入荷されると言われたり、やはりいつになるかわからないと言われたり。恐らく入荷状況が把握できていなかったのでしょう。

これはもう、年内は諦めるかなぁと思っていたところ、突然入荷・発送の連絡がありました。

というわけで、発売から遅れること一カ月。昨日無事に入手した次第です。

早速いろいろと試してみました。

意外と手間取るのが初期フィット。頭の形に合わせてバンドを調節したりするわけですが、コツを掴まないとなかなかいい位置に固定することができません。

眼鏡をかけているからか、最初はうまく焦点が合わず。眼鏡をずっと顔面に押し付けないと焦点が合わないという状態でしたが、それは位置がうまく合ってなかったからだということに気づくまでに結構時間がかかりました。

試行錯誤の末、後頭部の少しくぼんだ部分に下のバンドをフィットさせると、ちょうどいい感じになりました。こういうのは個人差があるとは思うのですが、私の場合は説明書に書いてある通りでした(最初から読め、ということですね)。

そんなわけで、ぴったりフィットしたHMZ-T1の映像の感想です。

ソフトは3Dテレビを買ったときにソニーからいただいた『アリス・イン・ワンダーランド』。プレイヤーはPS3です。

HMZ-T1は飛び出すというよりは、奥行きが重視されたような映像だという前評判だったのですが、周囲を十分に暗くして没頭できる環境であれば、何の違和感もなくひとり3Dミニシアターを体験できます。

画面が目の前にあるわけではなく、小規模映画館の20列目くらいに座っているような感覚でしょうか。確かに、USJターミネーター2(だっけ?)のように、目の前に何かがせり出してくるほどの迫力はありませんでした。まぁ、それはコンテンツにもよると思いますが。

『アリス』を半分ほど観た感じでは、アリスが穴に落ちるシーンや、鳥にサラわれるシーンなどでは、映画館で感じる立体感そのもののように思えました。奥行きも深いし、物体が飛んでくるのも臨場感たっぷりです。

字幕もダブって見えるようなこともなく、非常に見やすかったです。音響も予想以上に良く、まさに映画館で音と映像に包まれている感覚です。リビングのホームシアターシステムも、子供がいるので結局ほとんど使えてないのですが、これなら存分に楽しむことができそうです。

映画を観ることについては、しっかりフィットさえしていれば非常に満足のいく製品だと思います。


では、ゲームをプレイするにはどうなのかというと……。

一見、普通にゲームもできるし、没入感は素晴らしいです。が、しばらくプレイしていると意外と疲れてくることがわかります。

これは恐らくこういうことだと理解しています。ゲームは映画に比べると画面のあちこちに視線を向けることが多いんですね。このとき、普通のテレビだと無意識のうちに首も少しだけ動かして視線を動かしているんですね。

これに対し、HMZ-T1の場合、首を動かしても画面は動きません。頭に固定されているので当然なんですが、画面の端を見るためには、眼球だけで視線を動かす必要があるんですね。

例えば、画面の右の方にコマンドリストが出るような場面を想像してみてください。普通のモニターだと、まず顔を右の方に少しだけ向けて、そこから目で上下を見る(読む)と思います。眼球の動きは縦方向に動かせばいいだけですから、無意識にそういう「楽に読む」姿勢になるわけです。

ところが、HMZ-T1の場合、全てを眼球だけ動かさなければならないわけなので、視界の右上から右下に向けて視線を動かす感じになります。眼球を上下に動かすのはかなり自然で楽な動きですが、右上から右下に動かすのは普段使わない筋肉を使っている感じになると思います。

この例だけではそれほどの違いはないようにも思えますが、これがずっと続くと結構疲れてくるんじゃないかと、個人的には思います。

まぁしかし、没入感は半端じゃないです。何もかも忘れて没頭してれば、そのうち眼球の筋肉が鍛えられて視力向上や速読力向上につながる可能性もあるかもしれません(たぶんないけど)。

ただ、気を付けないといけないのは、視覚も聴覚も奪われているような状態なので、家族が部屋にやってきても気付かない危険性が高いことです(笑)。ひとりで観ているだけなら特に問題ありませんが、外から見るとかなり異常な光景です。だって、暗闇でボーっと椅子に座ってじっとしているわけですから(汗)。

とりあえずこれが2時間くらい使ってみた印象です。

あ、あと、気になるのは使わないときの片づけ方。レンズ部分がむき出しなので、どうやって仕舞うかを考えてしまいます。箱はデカいので使いたくないし、他の方がどうやって仕舞っているのか、気になるところです。