マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『慟哭』

評価:5.0

慟哭 (創元推理文庫)[Kindle版]@Amazon (Amazon)
心にぽっかり穴が開いた「彼」=松本のパートと、警視庁捜査一課長のエリートキャリア・佐伯のパートが折り重なるように組み立てられた推理小説。心の隙間を埋めるために新興宗教にハマっていく彼のストーリーと、連続幼女誘拐事件を追う冷徹な佐伯のストーリーは、序盤こそ時間軸がずれているように思えるが、話が進むにつれて加速し、重なっていく。そして迎える結末とは。
1993年の作品なので、もう既に20年ほど昔の作品ではあるが、古さはそれほど感じない。半ばくらいで物語が同期し始める辺りで薄々話の展開が読めてしまうが、まぁそこはそれ。著者の用意したストーリーにまんまと乗って読むのが楽しい。後半は一気に読めた。