マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『万能鑑定士Qの事件簿I』 松岡圭祐

評価:4.0

万能鑑定士Qの事件簿 I: 1 (角川文庫) [Kindle版]@Amazon (Amazon)
松岡圭祐著。
2010年4月から、隔月で全12巻が刊行された『万能鑑定士Qの事件簿』シリーズの1作目。
町中に貼られた「力士シール」を取材するため週刊角川の記者・小笠原悠斗が『万能鑑定士Q』という看板を掲げた店を訪れる。そこに現れたのは、23歳の博識美女・凜田莉子だった。
莉子は、沖縄県波照間島にいた高校生時代は成績も低く、世間を全く知らない女の子だった。しかし、高校卒業を機に東京に出て来て、ひょんなことから「学習のコツ」を掴み、いつしか「万能鑑定士」を名乗るほどの博識を身に着けてるのだった。観察力と感受性だけを頼りに、いかにして莉子が博識を身につけたのか、そしてこの天然美女がいかにして難解な事件を解決していくのか。凡庸で頼りなげな雑誌記者小笠原の視点を通して、描いて行く。ところどころ実名が出てくるが、当然のことながら物語はフィクションなので実在のものとは関係がない、ということになっている。死者がひとりも出てこないミステリー。
文体は軽妙で、いささか軽薄すぎる傾向にあるが、非常に読みやすい。蘊蓄系の話が多い割に推理や話の展開がやや強引すぎたり、「お墨付き」を「お済み付き」と書いたり、つっこみどころはたくさんある。まぁしかし。莉子が魅力的だからいいかという説もある。
第1巻は第2巻の前編のような位置付けらしい。すぐにでも次を読みたくなる。