マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』 なんじゃこりゃな映画

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これを普通の映画と同じようなものだと思って観てしまうと、はっきり言って拍子抜けである。ぼくの場合もそうだった。なんじゃこりゃ。最後のスタッフロールが流れるのを観ながら思ったのはただそれだけだった。なんじゃこりゃ。

映画を観てわかるのは、ある大学の映画サークルの3人組が、魔女が出るといわれる森に潜入してドキュメント・ムービーを撮っているうちに遭難し、不思議なできごとが起こってそのまま行方不明になってしまうというもの。いなくなってしまうまでの恐怖が、実験的な手法で描かれた映画である。

コンセプトとしてはおもしろい。実際にハイエイトで撮った映像と、白黒の16mmの映像とが入れ替わりながら、3人が夜ごと訪れる恐怖と遭難してしまった恐怖とに打ちのめされていく様が、実にリアルに描かれている。

しかし、映画の中では何の謎解きもないし、背景の説明もない。ラストは唐突にブツッという感じで断ち切られてしまっている。救いも何もない。なんじゃこりゃ。それだけ。

しかし、よくよく考えてみると、これは映画ではないのである。「ブレアウィッチ・プロジェクト」という名のプロジェクトなのである。だまされたと思う気持ちと、こんなのがなぜ話題になったのだろうという思いから、インターネットを調べてみた。gooで調べてみると、出るわ出るわ。オタッキーなサイトのオンパレード。もちろん公式サイトも充実している(今は続編のサイトの方が多いけれど)。

ブレアウィッチ・プロジェクトの真髄は、インターネットを通じて広がったその裏側の世界にあったのである。どこの国にも、オタッキーは大勢いるのである。

綿密な設定。深い歴史。映像の解析。謎解き。深い、あまりにも深い。あの映像だけでは全くと言っていいほど語りきられていない数多くの謎。これには正直言って、参ってしまった。「やられた!」という気持ちが強い。こういう手法は、正攻法ではないけれども、確かに今の時勢では有効な手法なのである。

とはいえ、映画自体の評価を敢えてつけるとするならば……。やっぱり低くならざるを得ないのだろうなぁ。映画しか知らなければ、やっぱりなんじゃこりゃな映画でしかないなぁ。残念だけれど。