マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』 昭和を代表する未解決事件の告白

評価:4.0

府中三億円事件を計画・実行したことを告白する手記という体裁となった小説(あえて小説と断定する)。
謎に包まれる昭和を代表する未解決事件だが、その裏には当時の特殊な時代背景ともいうべき学生運動に翻弄される青年たちの青春劇があったのだった。
事実かどうかは置いておくとして、白田と省吾(報道では「S」とされていた少年)の青春はリアリティを感じる。
文体にも、事件の推移にも、あらゆる面で若気の至りが感じられるが、そこがまたリアリティを増している要素であるようにも感じられた。
共感もできないし、後味もそんなに良くないのだが、一気に読み進めてしまう何かがある。