この作品、ロビン・ウィリアムスが主演なんですが、邦題がひどすぎです。
原題は『One Hour Photo』。いわゆるDPEショップ(写真のスピードプリント屋)です。
まぁ、日本で「ワン・アワー・フォト」って言っても通じないっていうのはわかる気がするんですが、かといって『ストーカー』はひどいんじゃないかなぁと思いました。
まぁ確かにストーカーまがいのこともするけど、重要なのはそこじゃないでしょう、と。
この作品は、大型量販店(最近日本にもたくさんできてますよね)のスピード写真屋の冴えないおっさんの話。
どこにでもいそうな、独身の中年男性。仕事に対する情熱と、顧客に対する愛情にも似たサービス精神が、徐々にエスカレートしていく……。そんな内容です。
ロビン・ウィリアムス演じる中年男性サイ・パリッシュの心の中が徐々に変化していく様が見事に描き出されています。
写真がテーマなので、映像的には非常に美しくまとまっています。写真を意識したカット映像、視点、色彩感覚……。これがまた几帳面なまでのサイの心情にピッタリなんですよ。
ストーリー自体はよくある話なんですが、サイの心情描写はよくできています。真面目で不器用な男が、なぜ警察に尋問されるようなことをしでかしてしまったのか……それがまぁこの映画のストーリーです(いきなり尋問シーンから始まり、ストーリーが展開するパターン)。
そういえば映画の中で、エヴァンゲリオンの使徒の模型が出てきたりします。
実はこれ、ちょっとした伏線になってるんですよ。
サイが憧れる家庭のガキンチョが、この模型を欲しがります。
「これは正義の味方なんだ。エヴァンジェリオン。羽根が生えてて空から悪い奴をやっつけるんだ」
なんてことを言います。
でもそれは使徒。エヴァンゲリオンの中では人類を破滅に導く悪役です。
サイはそんなことはもちろん知らないわけなんですが、後々自分をこの使徒の姿に投影していくんですよ。
その辺りのことは全くと言っていいほど触れられないんですが、映画を観終わって振り返ってみると、これはかなり綿密に練られた伏線だろうな、と思いました。
いや、思い過ごしかもしれませんけどね(笑)。
まぁそんなわけで、この映画、『ストーカー』っていうよりは『カメラ屋は見た』って感じなんですが、ロビン・ウィリアムス好きにはいいかもです。