マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『猟奇的な彼女』 日本映画が失ったもの

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この映画、実は例の定額DVDレンタル屋の主人が強く勧めてくれたんですよ。

さすがに開店前から何回も足を運んで、毎日のように返却しては借りていくヘビーユーザーなので、一週間で顔も覚えてもらったようです。

納屋としては、せっかくDVD借り放題なので音響バリバリのアクションものでも観ようかなぁと思っていまして、この映画は敬遠してたんですよ。なんせ猟奇的だし。

この映画、はっきり言ってタイトルで損をしてます。日本で「猟奇的」っていうと、どうしても殺伐とした印象がありますよね。「酒鬼薔薇」とか「池田小無差別殺人」とか。ああいうのが「猟奇的」だと思うわけです。

ところが、この映画の「彼女」はちっとも「猟奇的」じゃない。

まぁ確かにちょっと「奇抜」ではあるけれども。「猟奇的」という言葉から想像されるような印象は全く受けないんですよね。

英語題は「My Sassy Girl」。「なまいきな彼女」っていう感じです。こっちの方がぴったり来ます。どうもハングルでは「猟奇」というのは「ちょっと変わった」とか「かわいいんだけど突拍子もない」とかいう意味のようです。

でもそのままの題名だと日本じゃ売れんだろうなぁ、と心配してしまいます。

と、どうでもいいことをつらつら書きましたが。

まだ観てない人は是非観てください。もうそれこそ今からビデオ屋に走れと言いたい(笑)。

この映画、ほんとによくできてます。至るところに伏線が張ってあるし、思わず最後に大泣きしてしまいました。

最近映画をたくさん観てるので、少々のことでは驚かなくなってしまっているんですが、この映画にはやられました。

正直、DVDレンタル屋の店長を星野監督のように抱きしめたいくらいの気持ちになりました。紹介されなかったら絶対観てないと思います。

なんというか、日本映画が失ってしまった「無垢さ」を感じます。今年観た映画の中で一番泣いたんじゃないかなぁ。

掛け値なしにイイ映画です、これ。