マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『お父さんのバックドロップ』 

評価:3.5

お父さんのバックドロップ@ぽすれん (ぽすれん) お父さんのバックドロップ@Amazon (Amazon)
大阪の下町に引っ越してきた地方プロレス団体。その中心レスラーが、お父さんプロレスラーの牛之介(宇梶剛士)である。

母を亡くし、プロレスに明け暮れる父親とも距離を置く少年一雄(神木隆之介)。経営難から悪役に徹する父親と、それを嫌いさらに距離を置くように心を閉ざしていく一雄。

背景となる大阪の風景が、場末のプロレスによく似合う。そして、すれ違うままどうすることもできない親子の姿が、そこに溶け込む。外見が全く違うのに、どこか似通っている親子。それが、異質なものでも何のためらいもなく取り込んでいく大阪の町にも溶け込んでいく。溶け込みながらも、互いに交じり合わない個性。そんなゴタマゼの大阪の町で、親子がどのように成長していくのか。それを見守るうちに、いつしか観ている側の我々も、その舞台に溶け込んでしまうのである。

ストーリーは強烈なまでにストレート。わかりやすすぎて困ってしまうくらいなのだが、それはそれ。映画の作りの安っぽさは、舞台の雰囲気にマッチしていて、全く気にはならない。なんだか全てを許してしまえる気にさせられる。まったく不思議な映画である。

こういう映画はやっぱりいいなぁと思う。