マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


リウーを待ちながら 第2巻

評価:5.0

新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言発令。
知事の要請により、横走市は都市封鎖される。
現行の新型インフルエンザ等対策特別措置法では、都市封鎖することはできないが、それについては作中でも触れられる。
FM横走では、カミュの『ペスト』の朗読が始まる。
「絶望に慣れることは絶望そのものよりもさらに悪いのである」というのは『ペスト』の名言のひとつ。
人間には手も足も出ないペストに対して、徐々に人々の死にも慣れていき、身体は疲労し、心は空っぽになっていく。
原神の存在は、現在のコロナ対策班や専門家委員会の役回り。
タルーともパヌルー神父ともグランともカステルとも違う。『ペスト』には存在しない、一歩引いた冷静な視点。
玉木は無力を自覚しつつも患者に対応するリウーっぽい。
母親のがん治療の看病のために横走市からの脱出(脱走)を企てる彼は、新聞記者のランベールか。
そして、それを手伝う彼は、コタールなのだろう。
『ペスト』を下敷きにしつつ、患者や感染者周辺への差別といった現在の新型コロナにも通じるテーマ性もあり、今読んでおくべきマンガであるという印象がさらに強くなった。
第1巻よりもさらにひどい状況になってきたのだが、果たして出口戦略はあるのだろうか(汗)。