マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


リウーを待ちながら 第1巻

評価:4.0

富士山麓の風光明媚な横走市という、自衛隊駐屯地のある人口89,311人の比較的小さな街で、ある日突然に感染症らしき病気が発生する。
題名の「リウー」とは、カミュの『ペスト』に登場する主人公医師リウーのことを指す。ペストに襲われた港町オランで、逃げ出すこともせず淡々とペスト患者たちに寄り添い続けた医師である。
このマンガの主人公玉木涼穂は、無愛想で正論を吐くタイプの医師なので、そういう意味ではこの作品のリウーの役割だろうか。
ウズベクキルギス大震災救援活動において、自衛隊病院から派遣された駒野門次二佐は、現地でペストによって全滅した村を目撃していた。
現地から戻った自衛隊員により、横走市にペストが持ち込まれたということになる。
カミュの『ペスト』では、腺ペストが流行した後、変異により肺ペストが発生する展開だったが、このマンガではいきなりヒトーヒト感染をする肺ペストが流行する。
その理由については疫研の研究員原神さとるによれば、中央アジアには肺ペスト菌をばらまくタルバガンというマーモットがいるらしい。
発症から1~2日で100%死ぬという強毒性の感染症でありながら、状況からするとその感染力もまた非常に高い。
第1巻では感染者第一号の発生から院内感染、さらに市中感染と、瞬く間に広がっている。
新型コロナ禍のただ中にいる我々から見ても、こんなに強毒性が高くて感染力が高かったらさぞかしパニックになるだろうなと思う。