マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『あなたの番です 劇場版』 もしあの日に戻れたら

評価:3.0

ドラマ『あなたの番です』のアナザーストーリー。

もしあの夜のマンション自治会に菜奈ではなく、翔太が出て「代理殺人なんてありえない」と論破していたら……。

数年後、菜奈と翔太が無事に結婚式を挙げることになり、マンションの住人は豪華クルーズ船での披露宴に招待されるのだが。

基本的にはドラマ版のスピンオフ作品というテイストだが、本編好きがニヤリとするシーンやしかけも多い。

パラレルワールドなので、本編で残った謎が出てくるわけではなく、完全に独立した作品として観ることができる。

『死霊館 悪魔のせいなら、無罪』 Conjure なのか Curse なのか

評価:4.0

死霊館』シリーズの最新作。

1981年にブルックフィールドで起きたある殺人事件を題材にした物語。

原題は「The Conjuring: The Devil Made Me Do It」(悪魔が私にやらせた)。

個人的には今回の邦題はイマイチな気がしている。「悪魔が俺に殺させた」くらいでいかがだったろうか。ともあれ。

エド&ロレイン・ウォーレン夫妻は、デイビッドという少年の悪魔祓いを行うためにグラッツェル家を訪れていた。

しかしデイビッド少年に憑いていた悪魔は非常に強力で、激しい抵抗を受けてしまう。この騒ぎの中で、デイビッドの姉デビーに想いを寄せるアーニー・ジョンソンが悪魔を自分の中に取り込んでしまうところから物語は始まる。

アーニーはその後、デビーが働く「BBケネル」の経営者ブルーノを殺してしまうのだが、これが悪魔による仕業だとウォーレン夫妻が法廷で証明することになる実話を元にしているという。

残念ながら法廷の記録は既に破棄されているらしいが、少年の悪魔祓いを行なった音声は残っているし、デビーやアーニーからの証言も得られている。

ただ、実際の殺人が起こった状況を考えると、アーニーとブルーノがかなり酒に酔っていたということや、アーニーが普段から割と粗暴な言動をしていたということから、本当に悪魔のせいだったのかどうかはよくわからない。
作中ではそういう疑念を抱かせるような描写はなく、完全に悪魔によるコントロール下に置かれていたものとして描かれている。

このシリーズに限ったことではないが、「curse」(呪い)と「haunted」(幽霊のいる)、「Demonic possesion」(悪魔憑き)には明確な違いがあるようだ。

「curse」は、人による呪いで、その呪いの結果として人を「Demonic possesion」の状態にすることもできる(今作はまさにそれ)。

「haunted mansion」は「呪われた家」と訳されることもあるが、どちらかというと「幽霊がいっぱいいる家」という感じらしい。「haunt」は「取り付く」という動詞で、「haunted by memories」などのように、取り付くのは必ずしも霊的なものばかりではないのだが、「by」が省略されていると大抵「幽霊に」取り付かれていることを指すようだ。

「possesion」は、サッカーW杯でもよく使われたので聞き覚えのある言葉だが、「所有」を指す。「ball possesion」は「ボールの支配率」である。「Demonic posssesion」は「悪魔に支配(所有)された状態」つまり「悪魔憑き」を意味する。悪魔が取り憑くのは人や物であり、「haunt」を使えば「haunted by the devil」になる。
なお、「死霊館」の原題の「Conjuring」は、霊や悪魔などを呪文で呼び出す「conjure」から来ている。

なぜこんな話を始めたかというと、この作品では「curse」は「解くことができるもの」として捉えられているからである。「Demonic possesion」は神父による聖書や聖水を用いた悪魔祓いが有効だが、「curse」は必ずしもそうではない。

儀式によって「呪われた」ため、それを「解除」する方法がある、というのはなかなか興味深い設定である。また、「呪い」は悪魔を呼び出して何らかの生贄を捧げて契約することなので、「呪い」が「解除」された後は「呪い」を行なった者が生贄の代わりに悪魔に魂を取り込まれてしまうというのも面白い。

そんなわけで、『死霊館』シリーズは西洋のオカルティック文化の勉強になるなぁ、というお話でした。

『アナベル 死霊博物館』 アナベル人形入館編

評価:4.0

エドとロレインのウォーレン夫妻のコレクションにアナベル人形が加わった頃の話。

娘のジュディはロレインの血を受け継いで霊感のある女の子に育っていた。

エドとロレインは、大学生のメアリー・エレンにベビーシッターに来てもらうように依頼して外出。そこにメアリーの親友のダニエラも一緒に来ることになり、事件が起こり始める。

ウォーレン夫妻が活躍するシリーズは、主に二つの系統がある。

いわゆる呪われた家がテーマの『死霊館』シリーズでは、家に取り憑いた悪魔や呪いをウォーレン夫妻が悪魔祓いするというストーリー展開である。

一方『アナベル』シリーズは、呪われた人形アナベルを巡って展開される物語である。

『アナベル 死霊館の人形』では、ウォーレン夫妻のところにやってくるまでのアナベル人形の呪われた出来事が語られた。

『アナベル 死霊人形の誕生』では、そのアナベル人形が造られた経緯が明らかになる。いずれも、ウォーレン夫妻も少し登場するものの、本筋にはあまり関わらないスピンオフ作品という位置付けだった。

今回の『アナベル 死霊博物館』は、ウォーレン夫妻のコレクションにアナベル人形が加わるということで、冒頭から夫妻大活躍ではあるのだが、事件は夫妻の不在時に展開するため、どちらかというと娘ジュディにスポットが当てられた作品となっている。

また、特徴的なモンスターとして、今回は殺人鬼のフェリーマンが新たに登場する。殺した遺体の目に死後の世界への船賃としてコインを置くサインを残す。このため、作中ではコイン眼鏡の遺体が数多く登場することになる。


死霊館』・『アナベル』シリーズは、ロレイン夫妻が関係するオカルティックな事件を中心に展開しているが、時系列や視聴する順番はあまり気にすることはない。しかし、個人的には問題点がひとつある。どの作品も題名が似たり寄ったりで、自分がその作品を観たことがあるかどうかすっかり忘れてしまう点である。

『ライク、シェア、フォロー』 現代版『ミザリー』

評価:3.5

www.youtube.com

YouTuberを主人公にしたサスペンス。もしかしたらYouTubeではなく、ほかの配信サービスかもしれないが、もはや一般名詞のようなものなので、ここではYouTube、YouTuberと表記することにする。

ギャレット・ホフマンは、YouTubeチャンネル『ホフマンズ・ヘッド』に出演するいわゆる人気YouTuber。どちらかというとハプニング系のYouTubeチャンネルだが、ライブ配信で固定フォロワーが何人もいる。

原題の『LIKE. SHARE. FOLLOW.』は、いわゆる「いいね、シェア、チャンネル登録よろしくお願いします」という常套文句である。ギャレットも動画の最後に必ず言うのだが、こういう言い方のほうがスマートでいいなぁと思わなくもない。

なんとなく、日本的な「この動画が気に入ったらいいね、シェア、チャンネル登録もよろしくお願いします!」という言い回しは、くどくてあまり好きになれない。

作品としては、現代版『ミザリー』のようなものと言える。『ミザリー』の頃のキャシー・ベイツがめちゃくちゃいいなぁと思っていて、とある映画好きな人と飲むたびにそういう話になるのだが、それは別の話。

だが、「ミザリー」的なキャラクターが魅力的であればあるほど、こういうストーリーは盛り上がる。この作品もまさにそれで、「彼女」もまた魅力的である。

『ほんとにあった! 呪いのビデオ』37

評価:3.5

「呪いのわら人形」
投稿者不明映像。深夜の神社を撮影した映像。
神社の裏の森の中で何体かのわら人形に五寸釘が打ち込まれているのを発見するふたり。
そこへうめき声を上げながら、白い着物の女性が近寄ってくる。
その女性は下半身がないように見えるのだが。
いやぁ、この映像はインパクトあるわ。

「シリーズ監視カメラ 自動車」
乗用車の車内に設置された監視カメラの映像。
投稿者の尾上さん(仮名)にインタビューするのはスタッフ長田。
中古で買った車の助手席に傷が付けられていることを不審に思った尾上さんが監視カメラを設置したところ、夜中に車が揺れて助手席側の窓ガラスに人の手の跡のようなものがいくつも現れる映像が撮れたという。

「二つの眼」
クリスマスに外国人の家に遊びに行って撮影した映像。
途中で映像が乱れて、斜めに二つの眼のようなものがまばたきするのが映っていた。

「狂死のビデオテープ 胎動」
取材班が巻き込まれている不可解な事件の記録という触れ込みのシリーズ。
『ほん呪』30『ほん呪』36で話題になった「心霊博士」。36で連絡がつかなくなったのだが……。
心霊博士の電話番号を鳴らす新人スタッフ伊月肇。だが、携帯電話は既に解約されていたようだった。
ここで話は別の投稿動画の話に移る。
投稿者は緒方さん(仮名)。兄義明さんの携帯電話に残されていた映像だという。
高校の時の友人と飲んでいたときの映像らしい。しかし、彼は交通事故で亡くなったのだという。
義明さんの友人に連絡を取ろうとするが、友人や大学はNG。一年前まで通っていた予備校の教師が話を聞いてくれる。
義明さんはベテラン講師が授業中にオカルトの話をした際に喧嘩になったという。
そのベテラン講師の浅野さん(仮名)は、生徒からオカルト博士とか心霊博士と呼ばれていたという。
心霊博士の電話番号を予備校教師に確認すると、浅野氏のものだという。
浅野氏が住んでいた家に行くが、既に引っ越した後で、近所の人によると浅野氏が最近亡くなったという。神経を病んでいて、自殺したらしいというのだが。
ここで緒方義明さんの映像。
携帯を落としてベッドの下が映った際に、恨みがましくカメラを見つめる男の顔が横向きに映っていた。
つづく。

「海岸の洞窟」
キャンプ地の近くにあった洞窟を撮影した映像。
岩の隙間に、しがみつく手のようなものが映っている。

「隣人の声」
古いアパートで、隣の部屋から聞こえてくるあえぎ声に、面白がって耳を壁に当てる友人を撮影した映像。
途中から男の怒鳴り声や叫びに変わり、壁に何かを叩きつけるかのような音。
友人にカメラを向けると、その背後に女性の影のようなものが見える。
しかし、アパートの隣は空き部屋だったという。

「誕生日ケーキ」
誕生日のろうそくを消す映像。
ろうそくを吹き消す瞬間に、男性の顔に女性の顔のようなものが映る。

「狂死のビデオテープ 続・胎動」
別の取材中に、スタッフ長田に電話が入る。スタッフルームに変な人が来ているという。
制作会社社員沢田が初登場。心霊博士のテープをすべて
スタッフルームの監視カメラで、不審な男にスタッフ板倉由佳が応対するが、暴力を振るわれてしまう。
翌日、心霊博士の娘と名乗る女性から電話が入る。スタッフ長田とスタッフ伊月、演出児玉の三人で出向くが、彼女はひとりずつ来るように伝えるのだった。
次回、心霊博士の娘と対面する。

『ほんとにあった! 呪いのビデオ』36

評価:3.5

「シリーズ監視カメラ マンションの屋上」
屋上から飛び降りる人が多いことから監視カメラを設置するようになったと話す管理人。
屋上に出る扉の曇りガラスに女性のような姿が映るが、扉が開くとそこには誰もいなかった。

「恨眼」
久しぶりのスタッフルーム。前回から参加のスタッフ長田明子、今回からのスタッフ岩澤俊樹(『ほん呪』34までのスタッフ岩澤とは別人だが、名字が同じ)、そして初出かどうかわからないスタッフ渡辺美穂(『ほん呪』33で山の中でパニック状態になったスタッフ渡邉とは別人)が登場。混乱を避けるために、スタッフ岩澤二号、スタッフ渡辺二号と呼ぶことにする。
スタッフ岩澤二号が出社すると、首を切られた鳥の死骸が4羽入った段ボールが置かれていたという。
『ほん呪30』で登場した自称「心霊博士」。投稿した動画がなかなか採用されないことから、演出の児玉と演出補の岩澤(スタッフ岩澤一号のことだと思われる)を呪い殺すと書かれた手紙とともに、ビデオが送られてきたという。
スタッフ岩澤一号は、ご存じの通り、『ほん呪』34を最後にスタッフから外れているのだが……。
『ほん呪』18の「黒狐の終末」を思い出させたというが、そんな話はすっかり忘れてしまった(汗)。
そしてここでスタッフ岩澤一号こと、元演出補岩澤宏樹が登場。待ってたよ、スタッフ岩澤。髪が長くなって見違えたよ。スタッフ菊池は見つかったか?
今後の活動に不安を覚えて警察に相談した方がいいというスタッフ長田。しかし、これまでも独力でやってきたんだから、今回も独力でやった方がいいんじゃないかと、他人ごとのように語るスタッフ岩澤一号。そういうとこやぞ!
なんとここで、スタッフ岩澤二号がスタッフ岩澤一号を「兄ちゃん」と呼んでいることが判明。兄弟なのか!(汗)
「心霊博士」に電話をかけるスタッフ長田だが、電話番号は別の人のものだった。
送られて来た映像には、日本家屋の軒下から横向きにこちらを覗く顔のようなものがくっきりはっきり映っている。

「深夜のドライブ」
交通事故現場を目撃した後に撮影した映像。走行中の運転席の窓の外から覗く顔が映っている。窓の下から車内を覗き込むようなリアルな映像である。

「体験入学」
専門学校の体験入学のときに撮られた映像。
ビデオカメラを構える女性の向こうに、白い着物を着た女性の姿が映り込んでいる。

「呪いの携帯メール」
友人の誕生日に撮影した映像。
撮影した動画は特に問題なかったらしいが、携帯に送られた動画の女性の顔がくり抜かれたような状態になっていたという。
その後、顔がくり抜かれたようになっていた女性が亡くなったという。
スタッフ長田が確認の電話を入れてみると、アルバイト先のビルから飛び降りたらしい。
(続く)

「騒音」
上の階から足音が聞こえるということでビデオを回しながら抗議に行ったときの動画らしい。いや、抗議しに行くのにビデオ回すか?(汗)
上の階の住人から追い出されるカメラが、廊下に半透明に映る何人かの下半身が捉えている
。マンションの足音というのは斜め上から聞こえてきたりもするのだが、この階にはその家族しか住んでなかったという。

「テニス・サークル」
ラケットの素振りをする新人の足元に映る傷だらけの裸足の足。
その後、葬儀屋でバイトをしたいた少し変わったこの新人は精神を病んで大学も辞めてしまったというのだが。

「続・呪いの携帯メール」
自殺したという岩田さん(仮名)。
もうひとりの山下さん(仮名)から連絡があり、その後映像を確認したところ、自分の顔にもおかしな現象が起きているという。スタッフに送られてきた動画には特に異常はなかったのだが。
しかし、会うことになっていた日になって、山下さんからメールがあり、会えなくなったが、岩田さんの死因に心当たりがあるという。
以前、とあるセンパイと岩田さんの三人で食事した際、センパイに「憎い奴を地獄に落とす方法」という気持ち悪いメールが送られてきたという。その内容は以下の通り。
月の最終金曜日の午後2時ちょうどに東京都世田谷区にある公園で指定のメールアドレスに、題名を「死刑」、文の内容を憎い相手の名前にして送信する。
就職活動をしていた山下さんは、岩田さんの名前にして送ってしまったという。山下さんは、自分の顔がおかしくなった映像を見て、怖くなったのだという。
その夜、山下さんの家族から、山下さんが急性の病気で亡くなられたという連絡が入る。
投稿された映像では、岩田さんの顔の部分がくり抜かれて部屋の奥の方が見えるような現象が記録されていた。

『ほんとにあった! 呪いのビデオ』35

評価:3.0

「中古ビデオカメラ」
フリーマーケットで買った中古のカメラに入っていたDVテープに映った映像。どうみても志摩スペイン村なんだけど、まぁそれはいいか。
ダンス中に映像がフリーズして、黒い影の中に顔のようなものが現れる。確かにナレーションの言う通り、顔のように見える。
この投稿者は、この映像を観た後、気分が悪くなって嘔吐したという。視聴者にも観すぎないようにと警告しつつ、ゆっくり繰り返すところがまた『ほん呪』らしいというか何というか。

「海岸」
海岸で遊ぶ若者たちの映像。デッキチェアの下に黒焦げの手のようなものが映っているというが、ほんとに一瞬でよくわからない。

「シリーズ監視カメラ 河川」
河川を映す定点カメラの映像。自転車で橋の上を通る男性の後ろに、女性の上半身がしがみついているように見える。言われてみればそう見えないこともない。あまりにも自然すぎて全く気づかなかった。

「肝試し 前編」
投稿者がアルバイト先の友人宮前さんと心霊スポットという噂のある深夜の公園で撮影した映像。
同封された手紙には、ぜひ話を聞いて欲しいということで、スタッフが取材する。お馴染みのスタッフ岩澤は『ほん呪』34で離脱したため、スタッフ長田(女性)初登場。
投稿者は、心霊モノが好きな宮前さんと一緒に、心霊スポットの公園に行って撮影をしたという。その後、宮前さんの部屋に行くのだが、彼はその途中からだんだん無口になり、部屋に戻った後少し飲んで眠ってしまったという。夜中に宮前さんがトイレに起きたとき、チャイムが鳴ったという。宮前さんがそれに応対して、玄関で「そういうことから始まったんだ」という声を聞いた投稿者だったが、朝になると宮前さんは部屋からいなくなっており、その後連絡がつかないようになり、最終的には行方がわからなくなったという。
撮影した映像には、目のような映像がノイズのような音とともに入っているという。
投稿者の話によれば、その心霊スポットにはかつて病院の廃墟があったという。
宮前さんの消息は、付き合ってたという彼女もわからないという。
スタッフ長田が現地取材。病院の廃墟のようなものはなく、普通の公園のようにしか見えない。調べたところ、確かにかつては結核病棟の廃墟があったらしいが、2000年以降に取り壊されたという。
取材の後、投稿者の電話の内容をしゃべるスタッフ長田の後ろには、スタッフ菊池の写真が立てかけられていた。もう一枚写真があるが、その男性の顔はよくわからない。スタッフ岩澤でないことだけはわかる。
その電話によれば、宮前さんが実家で病気療養中だということがわかったという。
つづく。

「家族旅行」
家族旅行の映像。子供たちを映す部屋の窓の外から、髪の長い女性のような影が映っている。まるでこの部屋を外からカメラをのぞき込むかのように。

「黒い物体」
恋人の女性とラブホテルで撮った映像。
取材はスタッフ長田。ラブホテルでの話をする投稿者に、長田は苦笑いしながら聞いている。彼女がシャワーに行っている間に携帯電話で撮影すると、黒い影のようなものが映ったという。
渋谷の道玄坂にあるホテルで、昔OLが男に振られて自殺していたという噂があるらしい。
映像を観ると、確かに黒い影が横切った後、女性の頭のようなものがカメラに迫ってくる。いやぁ、なかなか怖い映像である。
投稿者の男性は、この取材の後、電車に飛び込み、亡くなってしまったという。

「暗闇から…」
花火をする家族の映像。
スタッフ長田が取材をするのだが、長田が着ている白いシャツの背中が赤い「呪」という文字がデザインされているのだが、それが気になって話が入ってこない。どうしたんだ、そのシャツは。
映像を撮った後、こどもの首に湿疹のような打撲が残っていたという。
映像を観ると、確かにこどもの首に灰色の手のようなものが伸びているのが映っている。

バナナの叩き売り
携帯電話で撮影したバナナの叩き売りの映像。
バナナの叩き売りをしている台の下に白い顔のようなものが映っているというが、画像が荒すぎてよくわからない。

「肝試し 後編」
宮前さんの元恋人・沢井さんに取材する。
ふたりでお祭りに行く予定をしていたが、待ち合わせに来なかったという。電話しても連絡が取れなくなり、部屋に行ったが反応はなく、合鍵で入ったところ、彼は家に居たという。しかしほとんど反応はなく、ベッドの上でボーッとしていたのだという。彼女は限界を感じ、彼に別れると言って部屋を出てきたという。
しばらくして、全く反応がない彼のことが気にかかり、部屋に行ってみたが、そこは既に空き部屋になっていたという。
最後に会ったのは、どうやら肝試しの翌々日のことだったらしい。
沢井さんは、彼の家から荷物を持ち帰る際、荷物の中に肝試しの日に撮ったらしい写真データがあったという。
そこには、投稿者と宮前さんがふたりとも被写体として写っている写真があったという。二人はその日持っていたビデオカメラとデジカメを手にしており、誰が撮った写真なのかはわからなかった。また、その画像はかなりノイズの入ったものだった。
投稿者に電話するスタッフ長田。
実際の映像。廃墟の病院がないことに不満を語る宮前さんの映像に、妙な声のようなノイズが三回入る。その最初のシーンで、確かに目のようなものが映り込んでいる。
編集スタッフ大杉が、三枚のノイズ画像を合わせると、顔のように見えることを発見する。
さらにそのノイズ音をつなぎ合わせると、「見せてやる」と聞こえるというのだが……。

やはりスタッフ岩澤がいないのが物足りない。

それはそうと、この映像を観た翌日、私の部屋にも黒い影のようなモノが視線の端に見えたような気がした。
一瞬ビビったものの、それは非現実的なものではなく、二十数年住んだこの家で初めて見るGの姿だった。
先日、部屋のシーリングライトを取り替えて調光機能付きのLEDライトにしたのだが、なぜかこの光に引き寄せられるように這い出て来たのだ。決して、『ほん呪』シリーズを観ていたからではない……と信じたい。
格闘すること数時間。追いつ追われつのデッドヒートを繰り広げた末、私は御札ではなく、アースゴキジェットプロでGを仕留めることに成功した。ゴキジェットプロとともに、根絶やしにするべくブラックキャップ(据え置き型対G兵器)も購入し、緊急配備したことは言うまでもない。かみさんからは部屋の掃除を徹底的にするように任務を課せられてしまった。
やれやれ、恐い話というのはほんとうにあるのである。