号泣する準備はできていた (Amazon)
直木賞受賞ということもあって、久々に江國作品を読んでみたんですが。
根底に流れるテーマが同じ12編の短編を収めた短編集なんですが、それぞれが短すぎて、なんだか「映画ダイジェスト」でも観ているような印象でした。
似たような話ばっかり(同じテーマを基調とした短編集なので仕方ないんでしょうが)で、しかもどうでもいい話が多いんですよ。
ううむ。
個人的に波長があったのは最後の短編の「そこなう」だけかなぁ。それ以外はなんかこう、ピンとこなかったです。
個人的に、読むときに「号泣する準備」ができてないんですね。号泣する準備どころか、話に入り込む前に物語が終っちゃうので、肩透かしをかけられまくっているような気分でした。一応、話に入り込む準備だけはしながら読んだつもりなんですが(汗)。
テーマは、「今までと同じ(これからも恐らく変わらない)日常の繰り返しの中で、着実に損なわれていく何か」を描こうとしてます。そのテーマ自体は嫌いじゃないんですが、やっぱり言葉足らずという印象が残ってしまったかな、と。
江國香織と同世代の女性なら共感できるのかもしれません。日常描写(とその延々と続きそうな連続性の表現)に関してはうまいと思いました。
が、それだけかな、と。
「きらきらひかる」、「流しのしたの骨」があまりにも鮮明に記憶に残ってるからかもしれませんが、期待外れでした。
涼色様(id:suzuiro)から言われた通り、「別の意味で号泣する」かも(汗)。