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今回の舞台はサイロンです。『ノスフェラスへの道』といいつつ、なかなか出発しないというのは大方の予想通りだったりします(汗)。
今回は久々にマリウスの歌うシーンがあるんですが、やはり小説という表現手法でライブ感を描写するのは難しいんですね。追憶にひたるオクタヴィアで辛うじてまぁそういう雰囲気というのは伝わりますが、マリウスが一体どういう歌を歌っているのかはやはりピンときません。
まぁしかし、オクタヴィアの回想で久々に懐かいイリスとマリウスのエピソードを思い出しました。あの頃はほんとに物語もキャラクターも輝いていたなぁと思います。今のようにキャラクターが思いのタケをセリフで言いまくるだけで舞台が展開していく、ということもなかったような気がします。
最近のグイン・サーガって、どうしてもセリフ劇の舞台を観ているような感覚に思えてなりません。パラグラフごとに幕が上がって、舞台の上の二、三人が互い違いに長いセリフをしゃべる、そういうセリフ劇を観ているような感じです。
実際の演劇は演劇で、もっと舞台転換があったり登場人物が入り乱れたり殺陣があったり踊りがあったりで、観ていても楽しいものなんですけどね。
なんというか、広大な中原を舞台にしているはずなのに、狭い舞台で数人のおしゃべりだけで物語が展開しているような気がしてならないんですね。
というわけで、この巻もまた全体的にそういう感じです。型にはまっているというかなんというか。
でもまぁそろそろグインも動き始めたようだし、100巻に向けて動きがあるのかなぁと期待はしてます。