マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『白い巨塔 第1巻』 山崎豊子 時代は変わっても本質は変わらない

白い巨塔〈第1巻〉 (Amazon)
やっと読み終わった感があります。すみません、読むの遅いんです。

言わずとしれたテレビドラマ『白い巨塔』の原作です。この本が刊行された昭和40年といえば、東京オリンピック(昭和39年)の直後、大阪万博(昭和45年)よりもさらに5年前です。なのに、全然色あせない作品です。

確かに時代の違いはいたるところで感じます。保険制度に対する批判的な描写や、手術技術、検査装置などを見ても隔世の感はあります。が、それを埋めて余りある人間関係はやはり、時代には関係ないんだなぁと思わせてくれます。

原作を読んでみると、唐沢寿明版の『白い巨塔』とはかなり設定が違っています。田宮二郎版は原作に非常に忠実になっているんですが、唐沢版はエピソードの順番も違うし、オリジナルのエピソード、独自の演出がいたるところで加わっています。

ドラマとしてはどちらも非常に成功したと思うんですが、それもやはり原作がしっかりしていたからだと思います。

発表された当初は、『白い巨塔』は第1巻から第3巻までだったんですね。誤診裁判で患者側が敗訴するところまで。その後、『続・白い巨塔』として2冊出ています。

田宮二郎版『白い巨塔』で全5冊を原作としてドラマ化されたんですね。現在は全5冊をまとめて『白い巨塔』第1巻から第5巻までとしているようです。

第1巻は、東教授の後任教授選挙の全国公募が決定するあたりまで。唐沢版ではかなり手を加えている、と書いたんですが、原作での重要な台詞はそのまま使っていたりしてます。

でも田宮版はそれこそかなり忠実に作られているので、原作読んでさらに田宮版も観て……という必要はないかもです。田宮版観れば、唐沢版との違いを十分楽しめます。それくらい、田宮版は完成度が高い作品になってます。