マンガ、映画の感想をベースに、たまにいろいろ書いてます。


『21グラム』 生と死を分かつもの

評価:4.0

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ショーン・ペンベニチオ・デル・トロナオミ・ワッツ共演の映画です。映画館で予告編を観てからずっと観たかった作品です。

最初から最後まで時間軸がバラバラで、ジグソーパズルのピースのように人間関係がわかりづらいですが、映画が進むうちに徐々に人間関係のパズルができあがっていく造りになってます。

ショーン・ペンもデル・トロもかなり年輩になってしまったなぁというのが正直なところなんですが、それぞれに違った人間味を出す演技を見せてくれます。

人は死ぬことで何を失い、何を得るのかというのが根底のテーマのようです。決して失うばかりではないのだ、というある種の救いのようなものが裏のテーマとして根強く流れているような気がしました。

登場人物に共感できる部分もあれば、相容れない部分もあるんですが、映画としては実にいろんなことを考えさせてくれる作品になってます。

一般視聴者の賛否はいろいろあるようですが、個人的には比較的高評価をつけてみました。

時間軸をバラバラにすることによって、視聴者が主人公(ショーン・ペン)に感情移入しすぎることがないようになっている、というのがその理由です。

ストーリーの主眼はやはり主人公の死なので、時間軸に沿った展開だとどうしても主人公に感情移入してしまいガチになると思うんですね。でも、時間軸をバラバラにして、デル・トロの視点やナオミ・ワッツの視点でのシーンが展開することで、主人公視点以外の立場を視聴者が自然に考えられるようになるんですね。

時間軸がバラバラなので、心境の変化を追うのは結構大変なんですが、その大変な部分を乗り越えることで、複雑な登場人物の心境がより深く理解できるのではないかなぁ、と感じました。

というわけで、全体としてわかりにくいのは仕方ないんですが、ショーン・ペンやデル・トロの対照的な演技はやっぱり見ごたえがありました。

奇しくもこのDVDを観た直後にJR宝塚線福知山線)の事故があり、多くの人が亡くなられました。そういうこともあって、印象に深く残ってしまったのかもしれません。亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。